白竹堂PRESS

その他 2022年08月15日

五山の送り火、京都の人はどこから見ているのか

こんにちは、京扇子の白竹堂です。享保3年、1718年から京都で扇子屋を営んでおります。

さて、明日8月16日は「五山の送り火」。2020年、2021年は一部のみの点火という少々さみしい形での実施でしたが、2022年は全面点火される予定です。美しい形が3年ぶりに見られると、今から楽しみです。

そこで今日は、五山の送り火についてのお話をしたいと思います。とはいえ、五山の送り火についての説明や見どころなどはすでにさまざまなメディアで紹介されているので、ここでは本当にエッセイ風に、京都の人はどこから五山の送り火を見るかについて話をしようと思います。

まずは簡単に、送り火の話

 

一般的に「五山の送り火」と呼ばれていますが、京都ではシンプルに「送り火」と呼ぶ人が多いように思います。「大文字の日」という人も聞いたことがあります。観光客の方にはたまに「大文字焼き」と呼ぶ人もいますが、京都の人はまずそう呼びません。

送り火という行事はお盆にはつきものの行事だと思います。京都以外の地域の方なら、玄関先などで行うところも多いでしょう。

京都の場合は、玄関先などで送り火を行う人はほとんど見かけません。それぞれの家ではなく、京都という町全体の行事として、五山と呼ばれる5つの山で送り火を行うのです。これが「五山の送り火」なんですね。

だから、京都の人は送り火を見ると「ご先祖さん、今年も無事に帰って行かはったな」とほっとするのです。一部点火で行った2020年、2021年はだから、なんとなくすっきりしない送り火でもありました。「あんなちょっとの送り火で、ご先祖さんちゃんと帰れはったんかな」と思ったものでした。

京都の人は送り火をどこで見るのか

京都の人なら五山の送り火が見える穴場を知っているのでは、と思われがちです。しかし、京都の人も案外「穴場」と呼べるような場所は知りません。

というのが、京都の人には、わざわざ送り火を見に出ない人も多いからです。

京都の人は「送り火は近所でどれか1つが見えれば十分」くらいに考えている人が少なくありません。そのため、だいたい家の近くの適当な路地や学校の屋上のような、地元ならではの場所から見ます(学校の中には、送り火の夜に近所の人対象に屋上を解放することがあります)。

中には「うちから見えるから、わざわざ観に行ったりしぃひんよ(しないよ)」という人もいます。

つまり、適当にサンダル履いてぶらりと近くに夕涼みに出かけるような、そんなカジュアルな感じで大文字の火を見るわけですね。

もしかしたらこういう場所の中に「穴場」もあるのかもしれませんが、少なくとも観光で来る方に紹介できるような場所ではありません。せいぜい遊びに来た親戚や親しい友人に「近くでよう見えるところがあるんやけど、良かったら一緒に来ぃひん?」と声を掛けるくらいです。

こういった事情から、京都の人であっても案外、五山の送り火が見える「穴場」は知らないことが多いのです。むしろ「そういうのは観光客の人のほうが詳しいんやないかなあ」とすら思っているかもしれません。

さて、昔は「送り火が終わると京都の夏も終わる」とよく言われました。確かに今でもなんとなく、送り火が消えると「ああ、もうすぐ秋やなあ」という気持ちになります。

とはいえ、それはあくまで気持ちの上だけ。暑さはまだまだ続きます。京都の方も、京都に来られる方も、暑さ対策をしっかりして夏を乗り切っていきましょう。